その日、きのこ類は思い出した。
 
奴らに支配されていた恐怖を。
 
鳥籠に囚われていた屈辱を…。
 
ウェーーーー、デン!!
 
 
えのき「やめろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 
 
飛ぶ翼をもたないきのこ類に、逃げ場のない滅亡が目前へと迫っていた
 
 
まつたけ「仕方ないでしょ。世界は…残酷なんだから…」
 
 
希望と絶望を分かつ壁
 
機を待たずして、封は切られた
 
 
なめこ「…オレが!たけのこに立ち向かわなかったのは…、オレに硬さが無かったからだ…!!」
 
 
次々と飲み込まれていく同胞達
 
断末魔を耳に、今日もえのきは朝日を迎える
 
 
えのき「目標は超おおがたけのこ!これはチャンスだっ!絶対に逃すなッッ!!」
 
 
迫る闇を振り払うように、太陽の下で対抗心を燃やす
 
 
はちく「お前はとことんきのこに向かんようだな…」
 
 
気がつけば、疑惑の影が袋の中へと伸びていた
 
 
しいたけ「聞かせてくれ、えのき!」
 
 
空を見上げる者少なく、武功挙げるもの未だ無し
 
 
しいたけ「袋の外は危険が一杯なのに、君はどうして…」
 
 
それでも、えのきは違った
 
 
しいたけ「…どうして…!袋の外に出ようと思ったんだッ!?」
 
 
目に灯したのは希望の光ではなく、復讐の炎だった。
 
 
えのき「…それは、オレが…!」
 
 
胸に宿したのは禍根の鎖ではなく、殊勝の十字架だった。
 
 
えのき「オレがッ!!きのことして産まれたからだ…ッッ!!!」





━━━━これは、一本のきのこの進撃譚

 
悲劇を押し付ける世界を
 
血で血を洗う世界を
 
 
━━━━駆逐せよッッ!!!!
 
 
ノシ